1-3. 繋<R-18>

絡み合った舌の動きを止める

 

おまえは離れるのが名残惜しいかのように

俺の下唇に纏わりつく

 

自由になった唇を

白く、細い首筋へ進める

 

おまえは途切れ途切れに息をしながら

唇を静かに受け止める

 

首筋から胸の膨らみへ

赤く熟れた実を口に含む

 

「…あっ…」

おまえの反射した手が唇を拒む

 

自由がきかないように

互いの指と指を絡ませる

 

脇から細く締まった腰へ

唇を這わせる

 

おまえの身体が小刻みに震える

 

ふふふ…だめだ…可笑しい…」

「おまえの唇でもだめだ…」

「くすぐらないでくれ」

 

あぁ、そうだ、ここは敏感なんだ

 

子供のころ涙が出るほどくすぐりあって

じゃれあった記憶

 

この細い腰は唇を受け入れるには敏感すぎた

 

唇を離したと同時に

警戒心のない膝を押し広げ

そこに指を潜らせる

 

「…あぁ」

 

おまえの漏れた吐息に

俺の理性が飛んだ

 

潜らせた指をひき抜く

「…もう…我慢の限界だ」

 

おまえは一度目を開き、俺を見つめる

そして…観念したかのように目を閉じ頷く

 

俺は…もう止まらない

おまえの唇に激しくむさぼり付く

 

俺を受け入れるおまえのから熱い吐息が漏れる

 

こんなに大切に思うおまえを

まるで獣のように壊したいと思う欲求が俺を襲う

 

舌を激しく絡ませながら

そっと…できるだけそっと

今にも爆発しそうなそれを

押し当て押し込む

 

最初の壁がきしむ

 

「…んぁ…」

 

おまえは眉間に皺をよせる

 

苦痛に満ちた顔…

重なったままの唇…

 

俺は、おまえが痛みから逃れられるように

できるだけ唇に意識を集中させてやる

 

激しく舌を絡める

 

絡めながら

俺のそれを少しずつ

奥へと進める

 

「…くっ…狭い…」

 

不意におまえに下唇を噛まれる

 

互いが痛みに耐える

 

おまえの痛みは

ちゃんと受け止める

 

おまえの中に…

 

徐々に腰を沈める

 

押し込んでいくたびに

背中に回されたおまえの腕に力が篭る

 

「…や…ぃやぁ…」 

 

閉ざされたおまえの瞳から涙がこぼれた

 

「…大丈夫か?」

 

自分の欲望のままに

繋がってしまったけれど

 

繋がったまま次に移れない自分

 

背中に回したおまえの腕の力が抜けない

俺の身体にしがみついたままで

顔も見えない

 

様子が分からないまま

不安になる

 

「…だめか?」 

おまえに聞いてみる

 

一瞬戸惑いを感じさせながらも

おまえは頭を横に振る

 

…良かった…

 

「顔をみせて」

 

おまえは一度、そっと息を吐いてから

腕の力を抜く

 

まっすぐに俺を見つめる瞳

 

「…痛いぞ」

 

「…あったりまえだ」

「…って、俺が言えた台詞じゃないな」

 

いま切れたのは線ではないけれど

どこかで聞いたような台詞を思い出す

 

思わず額を重ね合わせて二人で笑った

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

繋がったまま

唇だけ重ねては離れ

 

なんとなく時間が過ぎる

 

このままこうしていたら

正直、自分の意思とは関係なく

 

簡単に果ててしまうことが

時間の問題であることは

 

自分が一番良く分かっているのだが…

 

おまえにやさしく温かく押し包まれている

この状態がそれを加速させているのも

至極当たり前のことではあるのだが…

 

いや…

 

それは俺の男してのプライドが…

 

どうしてやるのがおまえにとって一番良い方法なのか

考えあぐねている俺の顔を見つめながら

おまえが言う

 

「こうやって繋がることによって」

「私はようやくおまえの妻になれたのだな…」

 

「…こんな私におまえが満足できるのかは分からないが」

「私は私なりに努力をする覚悟だ」

 

…おまえは…

 

俺はこんなにも健気で純粋で儚げで美しい妻を手に入れた

おまえを抱きしめる

 

俺の耳元でおまえが囁く

「これから送る私たちの営みを充実したものにできるように」

「…私にいろいろと教えてくれ…」

 

その言葉を聞いて俺は少し腰を引く

 

「…ぅ…」

 

少しずつ押したり引いたりしながら

おまえが痛みに慣れるように優しく動きを進める

 

俺は優しく探りながら

おまえのそこを突き止める

 

「あっ…もうダメだ」

 

何度目かの忍耐の末に

とうとう限界がやってきた

 

せっかくおまえのそこを突き止めたのに…

 

「…う…ぁ…

 

おまえと繋がったまま果てる

静寂が包み込む

 

「…私は…その…良かったのか?」

 

なんてストレートな聞き方だ…おまえらしい

 

「あぁ、良すぎたよ」

耐え切れなった自分を責めるように言う

おまえはうれしそうに微笑んで俺を抱きしめる

 

「…今度は一緒だ…」

 

おまえと繋がったまま

また少しずつ大きくなってきたそれを

奥へと進める

 

「…あっ…んっ…」

 

おまえはあえぎながら

うわごとのように俺の名前を呼んだ

 

全てを俺に与えてくれているおまえを抱きしめる

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

今までに感じたことのない

例えようのない痛みを

 

どうやって紛らわせていいのか分からないまま

思わずおまえの唇を噛んだ

 

痛みで眉間に力が入るのが自分でも分かる

今の私の顔はどうしようもないくらい不細工だろう

自分ではコントロールの効かない痛みが私を襲う

 

おまえの大きなものが押し入ってくるたびに

私自身がみしっと軋む

 

…もう少し

もう少し我慢すれば

おまえの全てが手に入る

 

一瞬、動きが止まる

そしておまえは躊躇なく私に入ってきた

 

「…や…ぃやぁ…」 

 

痛みを全身に感じながら

自然と涙がでる

 

でも、その涙は痛みからだけのものではなかった

 

おまえとやっとひとつになれた

私たちは夫婦になったのだ

 

喜びが悦びを生む

 

おまえは優しく動きながら

私のそこを突き止めて果てた

 

一度果てたおまえのものを

そのまま受け入れていた私の身体が

熱を帯びてくるのを感じる

 

その繋がった場所から

じわじわと湧きあがる疼き

 

徐々に大きくなってくるおまえが

また奥に入ってくるたびに

 

おまえの動きにあわせ

自然と浮く腰が規則正しく動くたびに

 

吐息が漏れる

 

「…あっ…んっ…」

 

わたしの漏れた吐息を聞くたびに

大きくなるおまえ

 

「…っふ…あっ…」

 

おまえの長い指が

そこを弄んだときに感じたのと

同じ快感の波が襲う

 

おまえの大きなものが動く

私に波がやってくる

 

身体の奥底が痺れ

息が途切れる

 

「…っ…くぅ…」

 

…もっと奥に

もっと奥にきて欲しい

 

「…も…っと…」

 

おまえは何も言わずに

強くそこを突く

 

「…んぁ…」

 

擦れあうその場所が

引き付き動くのを感じながら

動きをあわせる

 

波がだんだん大きくなる

背中がぞくぞくと震える

 

「…あぁ…」

 

身体を電気が走る

 

「…そ…そこ…」

「…あ…もぅ…」

 

波が留まることを知らず

次から次へと押し寄せる

 

言葉にならない快感が突き抜けた

 

 

力が入らない

ぐったりと動かない私の身体

おまえは動きを止める

 

「…大丈夫か?」

おまえが言う

 

…今度は私だけが果ててしまったのか

 

痛みも忘れ悦びを感じる身体

こんなにも愛されていることに感謝し

深く神に祈る

 

おまえとひとつになれた悦びを

心の底から感じる

 

熱くなったお前の全てを私は受け止めよう

それが愛なのだと今は分かるから

 

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額にうっすらと汗をにじませ

おまえの微笑む顔が

長い余韻を感じている

 

なんて美しいのだろう…

 

冷静に見つめる

 

こんな俺のものになってくれるのか…

こんな俺の全てを受け入れてくれるのか

 

俺は祈る

神よ…あなたが与えしこの女神に巡り合えたこと

そして共に生きられることを今、感謝します